[2023.08.31up]
首都壊滅
1923年9月1日に起きた関東大震災は木造住宅が密集していた当時の東京を中心として火災が広範囲に発生し、死者・行方不明者は推定10万5,000人に達した。この数は後の1945年3月10日にアメリカ軍が行った非人道的な無差別爆撃、これによる人的・物的被害に匹敵する。記憶に残る2011年3月11日の東日本大震災による被害の数倍大きい規模でもあった。想像を絶する災厄に生き残った人々の心も崩壊したことだろう。もちろんそんな状況下でも多くの人々は理性を失わなかった(はずだ)。
しかし戦争による被害者と同じように、災害の被害者も一転して加害者にもなりうる。
地震後に「朝鮮人や共産主義者が井戸に毒を入れた」というデマが流れ、それを信じた官憲や自警団などが多数の朝鮮人や社会主義者など(数百名~約6000名)を虐殺した事件が起きたのである。中国人、方言しか話せない日本人(福田村事件など)も殺された。
パニクって操作された情報を信じてしまう
警察・権力による操作情報をさらに拡大して流す新聞などのマスメディア。それに呼応して街の隅々まで張り巡らされた隣組(町内会)とそれによる「自警団」。まさに官民一体となった狂気であった。
これにあおられた人々は恐怖の正体と事実を確かめようともせずに、軽信して同調し付和雷同する。自らの恐怖心を外部に投影し、形を作り出して誤った「敵」を措定してしまう。
これは私たちの内部にある自発的な隷従性の裏返しのヒステリーなのだろう。
まず作るべきマインドとは
こういった状況は我々が知っている近年のいくつかの騒ぎに酷似していないだろうか。常にある意図をもって流される政府・マスメディアの情報により、あっという間に出来上がる同調圧力社会。こういった社会の中で一片の理性を持ち、騙されずに注意深く考え行動することはとても困難なことだろう。絶望的なことでもある。
そして100年前の関東大震災の時のこうした日本人の行動から学べることはとても多い。その行動の特性は15年戦争から現在まで脈々と続く。つまり過剰に抑圧された隷従性が危急の際に、自らの恐怖心を他の人々との同調により増幅させ、被害者としての立場から加害者へ一転する。
こういった日本の社会環境のもとで、とりあえず一人の個人としてでできることは・・・
政府・マスコミの発表や要請の逆を考え、それに反して行動する ことだろう。
あなたも私も「国や社会」に騙されないことから始めようではないか。なんせわれわれ日本人は自らの手で、権力者を倒して根本的に世の中を変えたことなど一度もないのだから。