[2022.09.19up]
「戦さとなれば欧州大陸はあげてロシアに立ち向かうだろう」
「ロシア人はあらゆる民族にとっての禍いである。ロシア相手の戦争は古い欧州とその文明の明らかな利益のための戦いである…。もはや欧州には一つの敵しかいない。敵とはあの巨大なロシアである」
これは米国やNATOの指導者の言葉ではない。1812年の祖国戦争に際してのナポレオンの言葉である(掲載画像の書より)。祖国戦争とはロシアで呼ばれる言葉だが、ナポレオン率いるフランス軍を中心とした多国籍軍が、ロシアに攻め入り敗退した戦争である。そして20世紀にはナチスドイツがそれを繰り返した(第二次世界大戦)。大祖国戦争と呼ばれる。
さて、ここにきてウクライナの「反転攻勢」が報じられている。どのようにロシアが「敗北」するのか見ものである。西側メディアの希望的観測がどうなるか。
前の記事にも書いたように、今度の戦争の当初から、攻めているように見えてロシアは退却しているのだ。一種の罠ともいえるだろう。
ロシアの軍事は、政治にコントロールされている。彼らは負けても必ず自らが決めた位置まで反攻してくる。そして勝っても自らの決めた位置まででとどまる。ノモンハン事件はその典型だ。多少の例外はあるだろうが、要するに自らのテリトリーを、無理をせずにしっかり固めて、次の地域に侵食する。それを繰り返しながらウラルを越えてアラスカまで、いやロサンゼルスの北(フォート ロス)にまで進んだのだ。
この戦争が続けば、軍需産業をはじめとするアメリカ資本はもちろん、「制裁」の効果もなく石油・天然ガスを中心としたロシアの産業はとても潤う。疲弊して崩壊していくのはヨーロッパの諸国と言われている。米ロの間をうまく泳いでいる日本も影響は大きいだろう。
日本の場合、表向きは政府もマスコミもヒステリックに「ならず者」国家を支援しており、例によっていまだに国民の大多数もそれに乗せられている。ところが日本の経済界は違うようだ。まさに面従腹背的な動きをしているみたいだ。それでよいだろう。
